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2007年03月29日

ロッキーへの挽歌

ロッキーへの挽歌 散り行く仔の悲しさ

 ゆきつもどりつしながら、冬と春をいったりきたりするような今年の不思議な天候である。
そんな時、起こった我が茅屋の悲しい出来事。

3月にはいっての10日、あれ?なんだかロッキー元気がない。
みれば、黄色の吐しゃ物がジュータンを汚していた。
どうした?お前、食いしん坊の仔だから何か悪いものを食べたな?と思った。
しかし、吐いたことがよかったのか、持ち直して走る跳ぶ、
食べる、眠る、いつもの動作が帰ってきた。
 翌々日、外へ出たいというから、すぐ帰っておいで、なにげなく不注意な声をかけて夕方になった。
 お花ちゃん、兄ちゃんを迎えに行っておいで、遅すぎる。
お花は戸口から一歩外へ出たとき、外の長椅子の下を見て、ぎょっと後ずさりした。

どうしたの?
見れば、いつも元気印のロッキーが横たわったまま雪にまみれながら激しい呼吸を繰り返していた。
大変だあああ、又毒物を食ったか、婆ちゃんのあわて方は尋常ではなかった。
塩水を飲ませて吐かせよう、逆さまにした。
呼吸を助けようと胸部をさすった。手足をさすった。
しかし10分後
婆ちゃんの手の中で、ことりと落ちて動かなくなった。

なんということだ・・・・・・
ロッキーよ、たった3年3ヶ月の命か。
わなわなと手も足も震えて一歩も歩けなくなった。

こうして3月13日、ロッキーは逝った。
人でいうなら高校2年生くらいのやんちゃ坊主、
元気がすぎて時々叱られることはあっても、いじめたこともなければ、ひもじい思いをさせて覚えもなかった。

お前、婆ちゃんの家族になって幸せかと問うて握れば、しっかりと握り返してくれる仔だった。
背骨と肋骨を骨折して死線をさまよっている婆ちゃんの枕元に添い寝して指をなめたり頬をなめたり懸命に励ましてくれた仔だった。

泣くな、婆ちゃん、おいらがついているじゃないか、そういってくれた。
雲ゆきて再び帰らず、人もまた動物たちも再び還らず、こんなさだめなのかもしれない。

その夜、老夫も婆もそしてお花もみんな泣いて夕飯を食べる元気は一人もいなかった。
翌日次女の助けを借りて、市の火葬センターへ送った。
次の世は人に生まれよ。
物は言えなくても啼いて探して
「婆ちゃん、兄ちゃんがいないよぉ」
妹のお花は凡そ1週間食事をとることができなかった。ただ水だけで7日間過ごした。

兄妹仲のこよなくいい仔達だったからよほどのショックに違いない。
そして21日が彼岸の入り、ようやく乾燥餌とマグロのお刺身を口にした。
庭の樹林に風が立って、静かに雨が来た。

ロッキーが生前、玩具にして駆けっこの相手をしていた赤い毛糸のボール玉が鈴をつけたまま小枝にゆれている。
庭の散歩が好きだったから、この小枝につるしておいてあげるからね。
私は空に向かって言った。

それにしても人間のこよない友として、心を慰めてくれる仔らのために、
お願いだから毒餌などばらまかないでほしい。
こういう人間はきっと釈迦尊もイエズス様も決して良い往生をお恵みにはならないだろうと私は信じている。
生きとし生きるものすべて一期一会の付き合いを大切にしてこそ、この世は美しいのではないかと思うから。

ラベル:
posted by うた子さん at 02:40| Comment(0) | TrackBack(0) | またたび通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月28日

またたび通信 婆ちゃんのつぶやき5

 おや?うーん、もうつぼみがふくらんだのか
合掌の形を解いて一番早く花になるのがわが茅屋の庭の白木蓮である。
そしてたったの3日だけ清らかに燗漫として咲き極まると、一斉に潔く
散り急いで大地を真っ白にしてしまう。
この花が咲くと、私はなぜか先にあの世への道を歩んで行った人々の
魂が花の中に降りて久方の物語をして又還ってゆく、
こういう思いがいつの間にか胸にほのぼのとした灯りを
ともしてくれるような信仰が育ってきて、雪のように散る
花丁に向かって手を合わせる仕草をかかしたことがない。

 庭の土壌に誤差があるのか水が及びかねるのか石楠花にも
梅も白樺も百日紅もあまり健全な歩みとは思えないのに、
木蓮だけはひとり天を指してすくすくと咲き上ることが不思議なのだ。
だから魂たちが宿下がりをしに還ってくるのだと思われてならない。
 つい3ヶ月前私のもっとも仲良しの詩人が逝った。
私も老々介護の視力障害の老夫を抱えていて晩年はほとんど会わず仕舞いに終わったことが大きい大きい損失だった。
   
  花咲けば花の化身に雪積めば
      雪の菩薩になりてゆく人

紅く燃えるほうずきが大好きな人だった。
著作歌集15冊を握り締めて、晩翠賞の偉大なその人は逝った。

posted by うた子さん at 02:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月13日

婆ちゃんのつぶやき4(猫の集会)

またたび通信 
婆ちゃんのつぶやき4(猫の集会)

 夕ご飯がすむと仔猫たちは必ず夜遊びをせがむ。
「ほい、行っておいで」決して不良少年でも不良少女でもないけれど
一体どこへいくのだろう。
雪のない素枯れの野原は走りやすい。
草を泳ぐことがなくて、去年のまま大地にへたり込んだ雑草はもう恰好な
じゅうたんのスロープ。
70メートル一直線のコースを走りまわること500坪
何回繰り返してもいい、ロッキーとお花はマラソン選手のように駆け出す。
そうか野の会議に参加するためか・・・・。
きたきた、お隣のミイもシマタロも議員の仲間.
それぞれ座る位置が決まっていて、それでも議題が何なのかちっとも
わからないけれど、決して喧嘩なんかしないのだ。
縄張りを争うこともなくじっと顔を見詰め合ってやがて散会する。
それから狩りがはじまるらしい。

どんなかすかな大地の鼓動も見逃すことはない、
地下で眠りについた仔ねずみ達がうっかり寝返りでもしようものなら
仔猫達の狩猟本能が火を噴く。
一瞬大地に手を入れて尾っぽでもつかめばもう占めた、
やったぜ婆ちゃん♪ 得意になって彼らは必ず見せに来る。

「わかった、わかった」天上に放り投げたり、草の上を追いかけたり、
しばらく遊んだら
「もう放しておやり、かわいそうだから」
午後10時をまわった。
あの子達遊びすぎだと迎えにゆこう。
懐中電灯を灯して。長靴をはく。
お花おいで〜呼ぶ声は聞こえているのに知らんふりなんかして、首をかしげて。

写真はお花
ラベル: 集会
posted by うた子さん at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

婆ちゃんのつぶやき3(白鳥の北帰行)

またたび通信 婆ちゃんのつぶやき3

 暖かい上昇気流に乗って白鳥の北帰行がはじまった。
例年なら何かの事情で渡りおくれもあったりして、
5月の初めころまで続くのだが雪のほとんど来なかった今年の
北涯の国々もやはり寒さがゆるいのだろう。

さあ、帰ろう 
父が先頭となり母がしんがりをつとめ、真ん中に幼鳥をはさむ。
「いざ、子供たちよ、皆そろって、一列に並べ、1〜2〜3
いっせいに頭を3回ふる。それが出発の合図、カオカオ、カオ〜
いいか皆ついてこい」
「わかったお父さん」
湖の上空を一周し、二周し、そして高く舞い上がる。
岩手のみなさんありがとう。そういっているのだ。
来年又、無事に家族そろって大堤(北上市)の湖に帰っておいで。
午前6時ころ、カオカオと啼きつれる声を聞くと私は毎年涙ぐんで手を振っている自分に気がつく。
先導しながら「皆続いてきたか?」
父が呼べば「大丈夫だよおとうさん」子等と母が答える。

 泣き虫の私の胸の扉をほとほととたたくものは一体なんだろう。
なにとぞ、天上を統べ給う神々様 空の長旅に出発する子等を
お守りくだされと思わず合掌していた。
途中水のあるところどころに小休止をしながら家族の無事を
確かめ合って、再び上昇気流にのって北を目指す。
「2038メートル あれが秀峰岩手山 その上を飛ぶぞ、
皆ついてきたか?」
人も鳥も動物たちも家族を守るのは父の勇気であろうから。
ラベル:白鳥  婆ちゃん
posted by うた子さん at 01:08| Comment(0) | TrackBack(0) | またたび通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年03月11日

婆ちゃんのつぶやき2

またたび通信 婆ちゃんのつぶやき2

 3月2日今年はいったいどうしたのだろう。
去年は屋根から落下した雪がついにまた屋根まで届いてしまった北東北の冬。
軒下を歩くといったって、屋内にストーブあ燃えているから分厚い氷と化けた
屋根の接点がいつ大音響とともに地上に落ちてくるかびくびくもの。
軒続きのビニールトタンなどはとっくに粉砕してどこかへとんだ。
それがなんと今年は雪が来ないのだ。
冬は純白の雪、この定番が来ないということは、地球のルールが壊れたに違いない。
 ひょうひょうとして、さらさらとして、霏々として楚々としてそしてモッツモッツと降りしきる雪は冬の花火といいたい。
 昨日のテレビの報道が耳をたたいてあーーあやっぱりそうだろうな。そうなるに違いない悲しさと虚しさでいっぱいになった。
 飲まず食わずに半年の子育てを終えた北極の白熊が二頭の子供を連れて半年ぶりの餌探しの旅に出発したとき、氷上にたくさんいるはずのアザラシの姿はなかった。
食物連鎖の地球の約束はどこにもなかった。
見渡す限りの海水を泳ぐ力などすでに無理、餓死を待つしかなかったのだ。
地球の温暖化を作ったのは誰か。
 私たち人類はこの大自然を守るために何をなすべきか考え、かつ実行するのは早急に考慮すべき大問題である。
posted by うた子さん at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | またたび通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

婆ちゃんのつぶやき1

「姉ちゃんとこの仔猫達元気にしてる?」
「うん!ロッキーとお花のこと? うん、元気でお互いやきもちを焼きながらころころしてる」
気がついたら、妹のところも娘のところも猫だらけ。
「総勢集合したら、何匹かなあ。それで私ふと考えたのよ。
姉ちゃんは自称猫キチ軍団の分団長みたいなもの。しかも詠えるわよねえ、短歌。
あといくばくの命なりせばの82歳、一歩一歩の道野辺にまつわりついて、
小さな憩いの灯をともしてくれる猫たちのあけくれを詠んでみようよ。」
「とんでもない、喜怒哀楽、春夏秋冬、花鳥風月なら何とか楽だけど、猫百態とくれば意外と難しい。
アニメの漫画になってしまうわよ」
「それでいいの。お目通ししてくださる友人たちが思わず笑ってしまうような小冊子、
写真や絵手紙も入れようよ」
なんとかかんとかひょうたんから駒が出ておだてにのって発刊したのが「またたび」
年賀状代わりのご挨拶というところ。

アラー可愛くて楽しかったぁ、笑っちゃったわ、お世辞半分
本当が半分みたいな合評文がたくさん郵便受けに飛び込んできて、
私も思わず笑ってしまった。
今日は平成19年3月1日。弥生の初日私の茅屋は見栄も外聞も
そっちのけの雑草のまっただなか、猫たちのつきあいはそこから始まる。

posted by うた子さん at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | またたび通信 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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